World Coffee Research, Good Practice Guide: Coffee Nursery Management
モジュール2 種子繁殖:
このページの記事は、World Coffee Research (WCR) の許可を得て、東村珈琲産業振興地域協議会がGood Practice Guide: Coffee Nursery Managementの一部を翻訳したものです。ただし、翻訳文の正確性その他についてWCRによる審査や承認は受けておりません。
また,このページの挿画は Google Gemini で生成したもので,WCRの原本には含まれておりません。
発芽床にはこまめに水を与えます。ただし、過剰な水やりはカビや根腐れの原因になるため避けてください。発芽床への水やりには、いくつかの方法があります。
ミスト灌水: 十分な湿り気を与えつつ、苗にダメージを与えません。
散水(スプリンクラー): スプリンクラーや、微細散水ノズルを付けたホースを使って灌水します。苗を傷めないよう、やさしく均一に水をかけます。
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水の量・頻度の両面で適切な灌水を行うことが、苗の生育を良くするうえで重要です。水分計を使って土壌水分をモニタリングし、水分量を18%前後に保つことが推奨されます。
発芽の過程では、施肥をしない方が望ましいとされています。種子は発芽に必要な養分をすでにすべて内部に持っており、また発芽した苗はすぐに収穫されて別の容器に移されるためです。
もし堆肥、ぼかし肥、ミミズ堆肥といった培地資材を使う場合は、植物への毒性を避けるため、それぞれの配合が持つ養分供給量を事前に分析しておく必要があります。pHは5.6~6.2、EC(電気伝導度)は1.0mS未満に保ってください。
種をまいた後、最初の3週間は、発芽床から50cm~1mの高さに透明なビニールシートを張って覆います。発芽した苗が出てきたら、このビニールシートは取り除きます。このビニールシートの目的は、発芽を促す微気象(局所的な環境)をつくることにあります。
すでに述べたとおり、光の強さを調整するために、発芽床は遮光ネットを張った屋根のあるハウス内に設置するのが最も効果的です。また、多くの生産者は、発芽床を麻袋(キャンバス地の袋)やバナナの葉で覆っています。麻袋を使う場合は、病原体の拡散を防ぐため、必ず消毒したものを使用してください。最適な光量は、全光量の20~40%です[訳注※]。
[訳注※]つまり,遮光ネットを購入する場合は,遮光率60~80%のものを選べばよいということになります。
苗床の苗の健康状態は、毎日チェックすることが重要です。これは、コーヒーの発芽床における主要な病害である、リゾクトニア菌(Rhizoctonia solani)、フザリウム菌(Fusarium spp.)、ピシウム菌(Pythium spp.)の発生を管理するためです。そのため、前段階である培地の消毒が欠かせません。
主な感染源のひとつが、育苗場に出入りする人の手や靴、また汚染された道具や資材の使用であることを念頭に置いてください。病気を防ぐためには、手洗い、靴の消毒、道具の消毒を、常に徹底して管理する必要があります。
ストロビルリン系、カーバメート系、銅水和剤といった接触性殺菌剤の予防的な散布は、発芽から苗の収穫まで、7日ごとに行います(トリアゾール系は苗に薬害(中毒症状)を起こしやすいため、避けた方がよいでしょう)。トリコデルマ菌(Trichoderma spp.)などによる生物的防除も、週1回のペースで併用できます。もし発芽床で糸状菌(カビ)による病気が見つかった場合は、衛生的な清掃を行い、被害を受けた苗を取り除き、殺菌剤を散布してください。[訳注※※]
もし以前にも殺菌剤を散布したことがある場合は、その内容を見直し、用量や散布頻度を増やす必要があるかどうかを判断してください。これは使用する製剤の種類によって異なります。
[訳注※※]日本国内では、コーヒーノキは農薬取締法上の作物分類で「果樹類」に属する(農林水産省30消安第6281号)。使用する薬剤が「果樹類」の適用範囲で登録されており、かつコーヒーが除外作物に指定されていないことを、農薬登録情報提供システムで確認したうえで使用すること。
苗立枯病(なえたちがれびょう, Damping off)は、リゾクトニア菌(Rhizoctonia solani)、フザリウム菌(Fusarium spp.)、ピシウム菌(Pythium spp.)など、複数の異なる種類の糸状菌(カビ)によって引き起こされることがあります。
播種が終わったら、問題がないかを確認するために発芽の経過を観察する必要があります。播種から20日後には、種子から最初の幼根(はじめに伸びてくる根)が出てくるはずです。確認するには、何箇所か種子の上の培地を取り除いて中を見てください。30日後には、胚軸(種子と根をつなぐ茎の部分)が伸びることで種子が土から持ち上がり、この時点で種子は「発芽苗」になります。ここまで来れば、発芽は確実だと判断できます。
もしこれらの段階が現れない場合、種子が発芽しない、または発芽が遅れる原因として、いくつかの要因が考えられます。種子の水分量が極端に低いこと(発芽力の低下)、培地の水分管理が不十分であること、病原菌による種子の腐敗、栽培に適さない気候条件などです。また、種子の古さ(採種からの経過期間)も発芽率に影響することがあります。
発芽状況を監視するため、各区画における生育状況を記録する必要があり、記録するデータには、使⽤した培地の種類、pH、遮光レベル、培地の⽔分量、土壌/環境温度、発芽率などが含まれます。詳細については、モジュール6「トレーサビリティ」を参照してください。